平成24年6月:シングルアームパンタグラフ特集開設
平成29年11月:JR九州の特急車両の2画像を追加
平成30年5月:従来のA〜Cの分類方法をA〜Dとする
平成30年5月:新たに分類方式としてE方式を追加する

シングルアームパンタグラフについて

シングルアームパンタグラフ(以下、「Sパンタ」と略します。)は昭和30年(1955年)にフランスの大手鉄道用機器メーカーフェブレー社 が開発し特許を取得したもので、欧州では古くから路面電車から高速車両まで幅広く普及していました。

わが国では昭和30年代に路面電車で使われていましたが、本格的に普及し始めたのは同社の特許保護期間が終了して日本国内メーカーによる製造に制約が無くなった1980年代末以降とのことで、これを本格的に採用したのは平成2年に営業を開始した大阪市交通局の70系電車とのことです。首都圏では平成5年頃、新京成の8900形に採用されたのが一番早いようです。

重量や部品点数や着雪の影響も少なく製造・保守コストの面でも有利なことから、その後ほとんどの新型車両に採用されることになりました。このSパンタの本格的普及により、従来の菱形パンタグラフは平成17年以降日本国内では製造されていないそうです。(主にウィキペディアより引用)


JR211系のSパンタから気が付いたこと

211系にはもともとPS21形という菱形パンタが装備されていましたが、平成20年9月頃に一部の列車からPS33E形のSパンタの付け替えが始まり、その後、ほとんどの211系にSパンタが取り付けられました。注1)

その後も211系のSパンタを見ていたところ同じ路線を走るE231系のSパンタとすべて取り付け方向が違っているのに気が付きました。並行して走る京浜東北線のE233系1000番台もE231系と同じ方向です。また、山手線E231系500番台も同じ方向でした。

そこで今まで撮影したJR等の車両のスリット写真のSパンタを調べたところ、211系だけが取付け方向が違っているというわけではなかったことがわかりました。

注1)211系の編成は平成27年3月に東北縦貫線「上野東京ライン」が開通後に既に上野口では見られなくなりましたが、この特集を始めるきっかけをつくってくれたものなので紹介させていただいております。
 
シングルアームパンタグラフの概観写真
(E351系)

 シングルアームパンタグラフの分類方法の図


Sパンタの取り付け方向の分類について

Sパンタの取り付け方向については、当サイトでJR各社や関東、関西の私鉄を撮影していることから、スリットカメラならではの側面画像からSパンタについて調べました。そこで「シングルアームパンタグラフ取り付け方向大調査」と銘打ってたいそう大袈裟なタイトルをつけてみました。

その調査の結果、上の図のように5つの方式に大きく分類できることがわかりました。説明上、その方式をA〜Eの各方式で略称します。なお、この分類方法については説明のために必要ということで私が独自に考えたもので、何ら正式なものではありません。

Sパンタに限らずパンタグラフは台車と車体を連結する回転軸の上に取り付けるのが理想と思われます。そこでボギー車では左右の台車のいずれか又は両方の上にあるものという前提を下にこの分類を考えたものです。そこで路面電車やそれに類する短編成の車両は分類対象として除外しています。また電気機関車についても今回は対象外とします。

上の写真はE351系のSパンタ部分を拡大してみたもので、次の図はSパンタが実際の車両の屋根に取り付けられた状態をパターン別に示しています。それぞれの方式の違いは、Sパンタが人の腕の肘(ひじ)に当たる部分が取付けられた車両を中心としてどちらの方向を向いているかによります。また、この見分け方は図中※の説明にあるように車両の左右どちら側から見ても判断できるので合理的でわかりやすい方法です。

A方式は取り付けられた車両の外に向いて取付けられた外向き方式で、Bはその逆で肘が車両の中央方向に内向きになっています。C方式は、1両に2基のSパンタが取付けられている例で、お互いに肘が車両の外方向に向いていることでA方式によるSパンタを2基取付けていることになります。さらにD方式ではお互いに肘が車両の内側に向いているB方式によるSパンタを2基取り付けているものです。最後のE方式は同じ方向を向くSパンタが2基取り付けられているものです。

以下にこの方法で分類したSパンタについてJR各社については写真付で、私鉄については主に一覧表を作成しましたのでご覧ください。


Sパンタの取付け方向による分類

<<JR編>>

Sパンタの肘が車両の外側に向いているA(外向き)方式  Sパンタの肘が車両の内側に向いているB(内向き)方式
 
宇都宮線、高崎線、東海道線E231系:PS33B形  中央線201系:PS35C形
 
京浜東北線E233系:PS33D形  京浜東北線の後に京葉線転出209系500番台:PS33A形
 
総武本線E259系:PS33D形 上の写真と反対側から撮影  高崎線、宇都宮線211系:PS33E形
 
中央本線E351系:PS31A形 スーパーあずさ用  ジョイフルトレイン(彩):PS32形 485系初めてのSパンタ
 
ジョイフルトレイン(和み)E655系:PS32A形  中央本線E257系:PS36形 あずさ用
 
山手線E231系500番台:PS33形  常磐線E531系:PS37A形
 
115系1000番台:PS35形 新潟色  常磐線E653系:PS32形 フレッシュ日立
 
JR西日本225系0番台:WPS28C形  JR西日本E683系4000番台:WPS28D形 サンダーバードです
 
JR九州883系:PS401K形 ソニック、かがやき用  JR東海371系:PS27A形 あさぎり用
   
 JR九州885系:PS401K形 かもめ、ソニック用   JR東日本651系1000番台:PS33形

JRの車両でC(外向き2基)方式は少ないですが、JR東海313系3000番台などがあります


<<私鉄編>>
下の表から車両形式欄の形式等をクリックすると、実際に
Sパンタを搭載した各車両のスリット写真がご覧になれます

電鉄会社名 車 両 形 式 方式
小田急電鉄 30000形EXE A
50000形VSE
60000形MSE A
1000形 B
3000形 A
4000形 A
8000形 B
京王電鉄 8000系 A
9000系 A
京成電鉄 ニュースカイライナー A
3050系 A・C
3000系 C
京急電鉄 新1000形 A・C
相模鉄道 8000系 A
新京成電鉄 8800形6連 C
8900形 C
N800形 C
近畿日本鉄道 22600系4連 A
22600系2連 E
50000系(未撮影) B・E
3220系 B・E
京阪電鉄 3000系  A
阪急電鉄 9300系 C
西武鉄道 20000系 A
東京メトロ 08系 A・C
東急電鉄 5000系 A・C
5050系 C
6000系 A・C
8090系5連 A
8500系5連 A
東武鉄道 250系 A
30000系 A・C
50050系 A
つくばエクスプレス TX2000系(未撮影)


 
 


検討結果について

当サイトの画像を検討した結果、以下のことがわかりました。

同じ京浜東北線の車両でも209系とE233系で昔と今は違うのがわかりました。また、同じ中央線でもあずさE257系とスーパーあずさE351系では違うこともわかりました。

E233系については予備パンタを上げればC方式になりますが、常時使用していないので今回はA方式に分類しています。また、E259系の予備パンタや211系の霜取り用パンタについても同様に対象からはずしています。

なお、新幹線車両については、その構造が特殊なものであったり、また、進行方向で使用するパンタグラフが異なるなど同様な配置の法則が適用できないことがわかりましたので対象としておりません。

B方式の車両がA方式の車両より全て古いということでもありませんが、ここ10年ぐらいを考えるとB方式の新車はあまり出てきていないのが実情です。また、JR九州の交流型特急電車883系も18年以上前にA方式のSパンタに交換されていますし、今後とも新車については外向きのA方式が増えるものと思われ、このことから今後はJRについてはA方式に統一していくものと思います。逆にB方式の車両は増えることなく次第に減少していくと思われます。(注2)

私鉄については上の表を見ればわかるとおりA方式が一番多いのですが、次に1両に2基の外向きのSパンタを搭載するC方式が多いのが特徴です。これはパンタグラフの離線があると電力回生ブレーキの効きが悪くなることや、夏場の冷房の電力をより確実に確保するためにパンタグラフの数を増やしているようです。なお、私鉄ではB方式は少数派です。
最後にE方式ですがJRでは日光線に使われている205系を改造した600番台の中間車がこの方式で、私鉄では近鉄以外では阪神の1000系、5700系、9000系の中間車の一部に見ることができます。

注2)B方式は古い車両やSパンタに取り替えた車両に多いと思っていましたが、例外がありました。それは
量産車ではありませんが、平成29年5月にデビューしたJR東日本の「四季島」で、1編成のみでB方式です

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